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2016年4月29日金曜日

夜、立ち上がれ!


日本ではどのように報道されているのか知りませんが、

フランスでは現在「Nuit Debout」というデモが開催されています。




パリのレピュブリック広場(共和国広場)だけにとどまらず、
ついに郊外の我が家の入り口にも、ポスターが貼られていました。


ニュイ・ドゥブーと読む今回のデモ。


「夜、立ち上がれ」

「夜通し起きろ」

「立ち上がりの夜」

なんて日本語では訳されているようです。



発端は政府による労働法改悪への反対デモでした。



現在は昨年末のテロ事件から続く非常事態宣言の延長やベーシックインカム、遺伝子組み換え作物などなど、誰でも意見表明できるデモとなっています。


特定のリーダーなどはおらず、既存政権とも距離をとりつつも、
主に社会党に対する市民の反感の感情が爆発した、という感じ。



とにかく何かしら意見のある市民が、広場に集まっています。

中には、どさくさに紛れて暴れたいだけの人もいるので、レピュブリック広場周辺のレストランやお店など、窓ガラスはバリバリに割られていたり、そこらじゅうに割れた瓶が落ちていたり・・・
昔からそういう革命的な場所だとしても、周辺の人はたまったもんじゃないな、と思います。



今回の活動で用いられている、「Debout」という単語は、ウジェーヌ・ポティエの革命歌「インターナショナル」の冒頭:「Debout, les damnés de la terre. Debout, les forçats de la faim」(たて、地に捕らわれし者。たて、餓えたる者よ)にも使われていて、サンディカリスムから続くフランス社会運動史やフランス人に流れる、「市民」としてのアイデンティティーを感じずにはいられません。
(世が世なら、断頭台を持ち出しそうな勢いです。笑)


今回のデモがいつものデモと少し違うのは、レピュブリック広場に集まった参加者が延々と議論をしているところ。



いつもならば、週末にプラカードをもって行進して、それでおしまい!

という感じなのですが、レピュブリック広場では今でも毎晩(仕事終わりくらいの時間)になると市民たちが集って、思い思いに意見表明(マニフェスタシオン)を行っています。

盛大に炊き出し?のようなものが行われていたり、アマチュア楽団によるドヴォルザークの交響曲「新世界より」の演奏が行われたりと、今回のニュイ・ドゥブーは運動のバラエティの多さもポイント。


警察も毎晩何十台も車を配置し、規制線をはるなど対応をしていますが、
雰囲気としてはぎすぎすとした感じではなく、どこかお祭りのような、にぎやかな感じです。
(屋台がでたり、ライブをやったり、警察と参加者が一緒に煙草を吸ったりしてる。笑)


私個人としては、若者が、社会に対して物怖じせず声をあげ、意見を主張することはとても良いことだと思います。

が、その反面、暴徒化したり、やりすぎな行動も徐々に目立つように・・・


せっかく(?)弁が立つフランス人なのだから、力でなく、正面から言葉で戦えばいいのに、と思います。自分の意見を主張したり、文句を言ったりはフランス人の得意分野ですからね。

フランス人あるある、
「でも私はこう思う!」が生きる場面です。笑


運動がはじまった3月末に比べると、現在は少し落ち着いてきたかな?という感じですが、
それでも毎晩一定数は運動を行っている様だし、まだまだニュイ・ドゥブーは続きそうです。



もちろん、全市民が一致団結してこの運動をしているわけではなく、
冷ややかな目で見ている人もいるのは確か。



私は特に参加するつもりもなく、危ないことに巻き込まれないように距離を取りながら、
今後の動向を見守っていきたいと思います。


デモ参加者・観光客・地元民・タクシー、いろんなものが共存する共和国広場。

雨でも人々は集まっている。(フランス人なので傘はささない。笑)

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